黒の魔法師
そして同じ様に見えても他人と同じ魔法式、魔法陣が存在する確率は低いと言われている。
「フライング…?そんなん感知しなかったデショ?」
審判のカラフルな教師は呆れながら聞き返した。
教師が魔法を感知した時点でその事を口にする筈だが、カラフルな教師の言う通り他の教師も魔法を使った時の反応を一度も感知しなかった。
だからこそカラフルな教師の言葉に他の教師は反論出来なかった。
「…確かにその通りです。魔法の発動は感知出来ませんでした」
少し考える素振りを見せた後、女教師はカラフルな教師と同意見の言葉をはっきりと口にした。
「偽造魔法で誤魔化し…」
「それはありません」
中年の男教師が他の可能性を示唆したが、全てを言い終わらないうちに女教師はそれを否定した。
そしてこの場にいる教師達がその言葉を疑う事はなかった。
「そうかもしれないが…あの速さは尋常では無かった」
中年の男教師が呟く様に言った言葉に、他の教師達は互いに顔を見合わせた。
ただ一人を除いて。
「え?なんで皆黙っちゃったの?」
その中で場違いな事をカラフルな教師は首を傾げながら訊ねた。
他の教師はその言葉にカラフルな教師を見つめながら、驚きと疑問が入り交じった表情を浮かべた。
「えー…だって最初に言ったじゃん。“話は最後まで聞きましょー”って」
「それと一体なんの関係があるのかね?」
皆の表情を見たカラフルな教師は当然の事のように言ったが、それだけでは他の教師は理解出来なかった。
それを察したカラフルな教師は問いかけに答えるのではなく、それまで傍観していま勇の背後へと回り勇の背中を押した。
勇はそれを拒否することも無く無表情でされるがまま、他の教師の前まで押されて行った。
「あの速さが何か本人に聞くのが早いって事でどうぞ!」
立ち止まると同時にカラフルな教師は勇に答えるよう求めてきた。
その求めに勇は一言で答えた。
「ワタシの特技は体術です」
「随分と短く纏めたね」
「ですが皆さんが求めている答えですよね」
「そーなんだけどさぁー…」
そう言いながらカラフルな教師は肩を落とした。
そしてその他の、カラフルな教師以外は釈然としない表情をしていた。
「体術とは一体…」
「これ以上面接時間伸ばすとヤバそうだから自分で調べてくださーい。あー、でも…」
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