空色canvas
「調子いいこと言ってんなよ。勝手にしろ…
俺も他に女探すし…」
思ってもいないことをわざと口にしてみたりする。
俺の目に写った彼女の姿は瞳にうっすらと涙が光り、唇を噛み締めていた。
冷たくすればお前は俺を嫌うだろ?
お前に嫌われたら俺も諦めがつく。
だから嫌いになってくれ…
「話は終わったよな?じゃあな…」
俺はそう言って立ち上がり、彼女を見ることなく背を向けて歩き出した。
「……榛真…!」
愛しい人の声に思わず足が止まる。
振り向けば…
ここで振り向いて抱き締めれば菜央(ナオ)は戻ってくるかもしれない。
きっと…
きっと戻って…