死んでもずっと友達だよ
「私がこの家にいられるのも、あと少しなのよね」




夏希の母が、ポツリとそうつぶやいて、悪びれる様子もなく、テーブルの上に置いてあった缶ビールに口をつけた。




「もう知ってると思うけど、うちの人が経営していた鉄工所が倒産してさぁ……。

この家も、差し押さえられるの。

嫌になるよね」




私は夏希の母の話を聞きながら、夏希の気持ちを思った。




〈 夏希のお父さんの鉄工所は、ずっと苦しい経営状態だったのね。

でも夏希は、私たちにそんなことは言わなかった。

夏希はそのことを誰にも言えずに、苦しんでいたのかしら? 〉




私と和也は、酒に酔った夏希の母に何も言えずに、夏希の母の話を聞いていた。
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