死んでもずっと友達だよ
「夏希、お前はもう死んだんだ。

ここにいてはいけない存在なんだ」




浩太はよろけるように後ずさりをすると、背中が入口のフレームに当たった。




「浩太、私は待ってるね。

私たちは友だちだから」




浩太は悲鳴を上げて、夏希から目をそらし、前のめりになって走り出した。




浩太の震える足は絡まり、浩太は転んで地面に両手をついたが、すぐに立ち上がって、また走り出した。




〈 夏希の話を聞いてはダメだ 〉




浩太は暗闇の校庭を走りながら思った。




〈 夏希に深く関わったら、オレはきっと取り憑かれる 〉




浩太はそう思って、夏希がいるはずの昇降口に、目を向けることはなかった。




夏希の幽霊は、そんな浩太の様子をまばたきもせずに、見つめていた。
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