こんな私、私じゃない。でも私・・・
「ねぇ弘樹・・・さ・・・」

―――引越す時は手伝うから。

続けて早苗のことを聞こうとしたのに察したのか弘樹はそう言った。

何も聞かないでと言われているみたいだった。

「うん。ありがとう。連絡するね」

スマホの通話を終了させた。

早苗とのことが気にならないわけじゃないけど、「何も聞かないで」と言われたら何も言えない。

スマホを見るとすぐるからショートメールが届いていた。

<誰と電話してるの?>

電話してくれたんだ。

すぐるに電話を掛けた。

呼び出し音がなったかならなかったかですぐるが出た。

―――誰と電話してた?

第一声がそれだった。

思わずくすっと笑ってしまった。

「さぁ~誰でしょう?」

ちょっとイジワルしてみたくなる。

―――誰だよ。

「心配?」

―――当たり前だろう?今日だって別に帰らなくてもここにいればいいだろう?

「なんかすぐるの家に一人でいるの寂しいし・・・」

うわぁ~私が寂しいとか言ってる。

人は変われば変わるものだ。

それに一緒に住んだら一人でいることも多くなるだろうに・・・

―――だったら一緒に来たら良かったのに・・・自分の弟なんだし・・・そうじゃなくて誰と電話してた?

話しが逸れたかと思ったけど、元に戻った。
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