こんな私、私じゃない。でも私・・・
そんなことを思ってしまった。

「わかった」

そう言うとすぐるは抱きしめていた手を解いた。

「でも向かいのマンションが完成するまで荷物入れられないよね?」

私はすぐるを見上げた。

ここに全ての荷物を入れるわけにはいかないし・・・

「確かに・・・じゃここに置く荷物だけ持ってさっさと引越して来いよ。後はインテリア考えながら荷物を動かせばいいよ」

インテリア考えてもいいんだ。

「うん。ありがとう」

じゃ今のところの解約は2ヶ月後ぐらいでいいかな。

「インテリアだけど・・・」

そう言った後に少し何かを考えている様子。

「いっその事、向かいのマンションで一緒に住む?」

えっ!?

予想外の言葉に少し驚いた。

「とりあえずここはそのまま借りたままで、二人で向かいのマンションに住むのは有りだよ」

だってそれって・・・

ここに私が住むのとは違う・・・

考え込んでしまい黙ってしまった。

「何を考えてる?」

すぐるが黙ったままの私の顔を覗き込んだ。

何を考えてるって・・・

新築のマンションに一緒に住むなんて、そんなことしてもいいの?

「すぐるこそ何を考えてる?」

「何をって・・・ここじゃ二人の荷物は置けないし、向こうの方が広いから・・・」

そう言われて、広さを聞いてないことに気付いた。



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