こんな私、私じゃない。でも私・・・
「ねぇすぐる」

翌日、すぐるの家でご飯を食べた後にソファに座り考えていたことを伝えようとした。

「ん?」

「引越しのことなんだけどね。暫く今住んでるところそのままでもいい?」

1ヶ月で引越しをするのは難しく自分の家に帰ってないこともあり引越しの準備が全然出来ていない。

「なんで?」

「何も出来てないから・・・それとね、向かいのマンションのインテリアを少し考えたいの。だから少し時間が欲しい」

「一緒に住むのイヤになった?」

すぐるが冗談ではないトーンでそう言ったので目を見開いてしまった。

「そんなわけないでしょう?」

何を言い出すのかと思っちゃった。

「そう?それならいいけど、美沙に帰る家が他にあるのが少し気になる」

私の家はあっても最近の帰る家はここなんだけどな・・・

「・・・って言うのは俺のわがままだな・・・」

少し間を置いてすぐるが私の髪に触れながら言った。

「わがままじゃないよ。それに私の帰る家はもうここだよ」

そう言うと私の腕を掴み引き寄せ、ぎゅっと抱きしめられた。

「俺も手伝うから早く引越して来いよ」

どんなに私は大切にされているんだろう・・・

どんなにこの人は私に甘いのだろう・・・


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