こんな私、私じゃない。でも私・・・
「私は・・・木田主任の言ったことはよくわからない」

「わからないで誤魔化されないよ」

そう言われても・・・

「すぐるを『気になる男(ヒト)』って思ってたけど・・・そんな前から見ていたなら無意識」

いつ頃から『気になる男』だっただろう?

自分で意識したのはすぐると食事する少し前・・・

「『気になる人』だったんだ」

すぐるはニヤリとした。

そうだよ。

でもその時既にすぐるが私を好きでいてくれたなんてなんか不思議すぎる。

「じゃお互いに良かったね」

すぐるの顔を見上げれば、優しく微笑んでいた。

確かに良かった。

でも『確かに良かった』なんて言葉だけではもったいない気がする。

「すぐる・・・」

私はすぐるの首に手をまわした。

「いつからって美沙は聞くけど、いつからなんてわからない。でも長かった・・・」

ぎゅっと抱きしめられた。

長かった?

何が長かったんだろう?

「何が長かったの?」

抱きしめられたまま問いかけた。

「ん?」

すぐるは手を解いて、ソファーに座りなおした。

「俺には『彼女』って名前だけでも『彼女』がいたからね、なかなか誘うことが出来なくて・・・ホントに長かったんだ。何度も誘おうと思ったことがある。でも『彼女』に男が出来るまではと自分で決めてたから・・・」
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