こんな私、私じゃない。でも私・・・
どのくらいの時間を二人で過ごしたのかわからない。

いつの間にか眠っていた。

私たちはどんな関係なのだろう?

新城さんは私に「俺を好きになれよ」って言うけど、私は既に好きで・・・新城さんは私だけを好きになってくれない。彼には私以外にもいるんだろう。だから、好きとは言えない。

でもさっき言ってしまった。

覚えてないふりをしよう。

「ん・・・美沙・・・」

新城さんが目を覚ましたらしく、私を手で探ると抱き寄せた。

「もう少し寝かせて・・・」

そう言うとすぐに寝息が聞こえた。私を抱き寄せたまま。私は身動きが取れない。

もう少し寝るなら離してほしかった。

でも何も考えずにこの時間を過ごすのがいいのかもしれない。

新城さん、私は大好きです。

でももう「カラダの関係」は続けられません。

新城さん・・・

私もいつのまにか眠っていたようで、次に目が覚めた時に新城さんが私を見ていた。

「おはよう」

さっきと同じように抱き寄せていた。

「おはようございます。新城さん・・・昨日・・・」

覚えていないと言っておかないと・・・

「やっぱり覚えてない?」

新城さんは少し残念そうな声だった。

覚えているけど、覚えてない。

「はい」

私は嘘をついた。

「そうだよな。ごめん、昨日優しく出来なかったんだ。カラダ大丈夫?」

そんな気遣いをしてくれる。

私は「大丈夫」と、だけ言った後、涙が込み上げてきた。

< 69 / 214 >

この作品をシェア

pagetop