こんな私、私じゃない。でも私・・・
私は泣いているのを知られたくなくて抱き寄せられている体を動かし、手が解けると新城さんに背中を向けた。

「どうした?」

「・・・・・・」

何も答えられない。涙声になってしまう。

「ごめん。そんなにイヤだった?ごめん」

新城さん、謝らないで・・・

何も悪くない。優しく出来なかったって嘘。いつもと違ったけど、イヤじゃなかった。

「ちっちがう。違うの」

私は背中を向けていた体を元に戻して、新城さんに抱きついた。

「新城さん・・・」

大好きです。

伝わればいいのに、私が好きって思ってること伝わればいいのに。

好きになれよ。なんてこれ以上私はどう好きになればいいの?好きになると、やっぱり気持ちがほしくなる。その他大勢じゃない、彼女になりたくなる。それがダメなら、もう続けることは出来ないかもしれない。

「美沙・・・」

新城さんは私の髪を撫でた。

「今日、ドライブ行こうか?」

えっ!?

私は顔を上げて新城さんの横顔を見た。

「新城さん」

今までそんなこと言われたことない。

休みに何処かに行くなんてしたことない。

「ドライブしたいから付き合って」

そう言うと新城さんは上半身を起こした。

「シャワー浴びてくる」

新城さんはベッドから降りた。

「帰ったらダメだからね。美沙はここでシャワー浴びて後で着替えに家まで送るから、そのままドライブ行こう」

そう言うと部屋を出た。

どうしよう・・・

新城さんとデート・・・

いいのかな?私とドライブなんかして?

ホントにいいのかな?

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