こんな私、私じゃない。でも私・・・
浮気な女?
それからの日々は充実していた。

今まで考えないようにしていたけれど、『カラダの関係』だったことが負担だったようだ。

彼氏、恋人って言えることの心の軽さを実感していた。

それまで、友達にも何も言えなかったけど、これからはちゃんと言える。

それにあの夜の「愛してる」は私を充実させてくれた。

愛されてるって思えるだけで私の生活も変わった気がする。

何をしていても楽しい。


そんなことを思っていた頃、今まで偶然に会ったことがない人に会った。

「神村?」

と、急ぎの郵便物を出しに行った帰りにちょうどエレベーターホールで声を掛けられた。

えっ!?

声の方へ振り返った。

そこに立っていたのは今野君だった。

「わぁ、今野君、どうしたの?」

このビルに用事?

うちの会社ではないよね?

「3階にお世話になってる設計士さんがいて・・・神村は?もしかして住谷で働いてるの?」

と、言われてちょうどあった管内の表示を見た。

3階にあったのは「遠野設計事務所」と表示されていた。今野君も表示をみたようでそう聞かれた。

「そうなの」

「へぇー俺、今から打合せなんだけど、6時には終わるからちょっと軽くご飯でも行かない?」

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