こんな私、私じゃない。でも私・・・
「・・・美沙・・・」

優しく名前を呼ばれた。

「美沙、触れられないよ」

と、言われて少し手を緩める。

その後のタクの唇と舌の愛撫と手と指の動きに、もうわからなくなっていった。

タクの動きは今までよりも優しくて、何度も「好きたよ」と、囁いてくれた。

私は彼の名前を初めて呼んだ。

「・・・私も・・・好き・・・すぐ・・る・・・」

すぐるの動きが一瞬止まって、その後言われた言葉。

「ありがとう」

優しいキスが落ちてきた。

「愛してる」

甘く囁かれた。

「嬉しい」

口元を手で覆った。

私は自然と涙がこみ上げてきた。

今まで『カラダの関係』って思ってた。でも勘違いとわかった今日。

今までとは違うココロとカラダが満たされる夜。

私も伝えたい。

「すぐる、私も愛してる」

首に手をまわして、ぎゅうとして私からキスをした。

「まだ足りない?」

そう言われてすぐるの愛撫が再び始まった。

「えっ!?すぐる?」

逃れたいのか逃れたくないのか・・・

「・・・っあっん・・・」

もう声を我慢することなんて出来なくて、私はその夜、何度も何度もすぐるに溺れる夜になった。
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