(気まぐれっぽい)Queen


桜も電話しに行ったし、仕方ないから学校の中を散歩しに行こうと思う。

なぜか賑わっている廊下。自分で言うのもあれだが、ぼっちのあたしが可哀想になってくる。

「あ、松坂じゃん」

不意に後ろから声がした。

「……えっと、内谷くん…?」

振り返ってみれば、そこにいたのはKINGの幹部である内谷くんだった。





なぜか内谷くんはついて来て、といったから仕方なくついていったら、中庭に着いた。

「ここ…座れよ」

そう言いながら、指をすぐそばにあったベンチに指していた。

「それじゃあ、座ろっかな。………どうしたの、急に」

こうやって内谷くんと2人きりで話すのは初めてだ。だから、てっきり大事なことがあると思ったんだけど…。


「…俺に勉強教えてくんねーか?」


「……………は?」

なんか…デジャヴ。まあ、内谷くんも萌花も雰囲気的にバカだけれど…。

「ちなみに、教科は?」

萌花に聞いたのと同じことを内谷くんに聞いてみる。

そうすると彼は律儀に「1、2…」と、指を折りながら数える。


「……全部だった」

あれ、デジャヴ。(2回目)


「お願いだよ、松坂ァ!俺にはお前しかいねぇんだ。俺は…壊滅的にやばい。先生にまで哀れみの目を向けられるぐらいな。……だから頼むよ!」


なんとまあ…。相当悪いんだな、成績。
まあ、あの会話からなんとなく内谷くんの成績は分かってたけどね。あれだよあれ。…Queen狩りの件。


ふぅとため息をはく。仕方ない。

「…今回だけよ?」


今回だけだ。
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