愛して。Ⅲ
「名前は?なんて言うの?」
「…………」
黙ってあたしと男の子のやりとりを聞いていた蓮が口を開く。
「助けてもらっといて口もきけねぇのか」
「ちょ、ちょっと蓮……っ」
小さな男の子に対しての遠慮のない物言いを止めようとしたが、男の子がぴくりと反応した。
「助けて……?」
あたしが答える。
「うん。路地裏で雪に埋もれてたの。覚えてない?」
「雪……あぁ、うん」
男の子は思い出したようにそう言うと、俯いて呟いた。
「死ねば良かったのに」
聞こえた言葉に耳を疑う。
どう見ても小学校2、3年生。
そんな小さな男の子が、死ねば良かった……なんて、悲しすぎる。
あたしがそのくらいの歳の時は、まだそこまで思ってなかった気がする。
あたしが本気で自分なんか消えれば良いのにと思ったのは、12歳のあの日だ。