愛して。Ⅲ
あたしと隼が男の子に駆け寄る。
蓮と同じ銀の瞳があたしと隼を映し出す。
「体調どう?」
「め、女神さま……? い、いや、お前誰だよっ!」
女神さま?
この子、あたしのこと女神さまって言った?
「真梨、女神さまだってよ。さすが我らが姫。やっるぅ〜」
普段は姫とか言わないくせに、大河が楽しそうに煽ってくる。
「ちょっと大河、うるさい」
「悪い悪い。怒んなよ」
本当に悪いと思っているのか思っていないのか、ニヤニヤしている大河から男の子に視線を移す。
「あたし、真梨。怖いお兄ちゃんがいるけど、変な人じゃないから安心して」
怖いって誰のことだよ、と大河の声が聞こえるけど、無視だ。
「寒くない?頭痛いとかしんどいとか、ある?」
「…………」
男の子は黙ったまま、あたしを睨みつける。
小さいのに、すごい警戒心。
野生の動物みたいだ。