愛して。Ⅲ
初詣の帰り、行きつけであるシゲさんのお店で夕食を食べた。
いつもだったらその後迎えの車を呼んで帰るんだけど、雪が降り出したのを見て少し歩いてから車で帰ることにした。
「蓮、車いつでも出れるようにしてあるって」
「ん」
大河と蓮がなにやら話している横で、隼は空を見上げてはしゃいでいる。
「うわ、キレー。夜の雪ってほんと綺麗だな!」
「隼、また転ぶよ!」
止めようと声をかけるけど、隼は素知らぬ顔。
「またって、転んでないし!」
確かに転んではないけど。転びかけてたくせに。
隣に並んだ蓮と手を繋ぐ。
蓮はその手を自身のコートのポケットに突っ込んだ。暖かい。
「綺麗だな」
「うん」
こんな時間が、すごく幸せに思える。
ずっとずっと、こんな時間が続いてほしい……。
そんな気持ちで、繋いだ手にギュッと力を込めた。