BLUE
高校時代

一年生





桜の花びらがはらはらと散っている。





そんな今日めでたく私木下美沙は、
ここ青藍(せいらん)学園へと
足を踏み入れたのであった。





入学式が始まる時間より随分早く来てしまった私は広すぎる校舎を回ることにした。









『うっわあ、すっごいおっきい…』











ドンっ!!!!









『ひゃっ!!!!………いった…。』








上を向いて歩いていた私は前から走ってきた男の子とぶつかってしまった。









「ごっ、ごめん!怪我は!?」
『いえっ私は大丈夫です!』







そう言って顔をあげると
目の前にはすっごく綺麗な瞳があった。










うっわあ。すっごいカッコいい……。







思わず見惚れていると、






「おーい!!大丈夫!?」
『………あっ!大丈夫です!あっ、あの………ぶつかっちゃって本当に本当にごめんなさいっ!』
「え?いやいや、なんで君が謝るの!」
『でもっ………』
「謝るのは俺の方。ごめんね、立てる?」






そう言って差し出された優しい手を、
私は照れながらも取った。








(翔太〜〜〜〜〜!どこーー!?)
(翔太まってよ〜〜〜〜〜!!!)









「うわやっべ。もうあいつら来たのかよ!じゃあね!」
『あっあの……!!!』






「また、会えるといいね!!!」








そう一言残してイケメン君(仮)は
風のように去ってしまった。






……今の人、かっこよかったなあ。
あんなにかっこいい人、
中学でいなかったからびっくり…。






青藍の制服だったけど、先輩だろうな。






〔また、会えるといいね〕







彼の言葉が嬉しくてついつい頬が緩む。
そして私は心の中で小さく祈った。












また、会えますように。






















ーーこれが翔太と私の始まり。






翔太はこの日のこと、
今でも覚えていますか?







どうか翔太もこの時のこと、












忘れていませんように。ーー
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