好きで、言えなくて。でも、好きで。
追って捕まり、鬼ごっこ
「捜索願い、出してやる!」


「ちょっと、賭狗膳さん!待って下さい!」



成人して、警察官にもなった威叉奈を心配する者は課長以下賭狗膳以外にもいる。


いるにはいるが、職業柄そのうち帰ってくるだろうと、騒いでいるのは賭狗膳だけで誰も探そうとしない。



だから、奥の手で捜索願いを出そうと賭狗膳は向かおうとする。



「そんな理由で、受理されるわけないだろうが。」


「管理官!」



部屋の出入口に立っていたのは、捜査中も滅多に顔を出さない棟郷だった。



「あ゛?ほっとけ。あれから3日も連絡取れねぇんだぞ?!何かあったに決まってんだろっ!」


「賭狗膳さんっ。落ち着いて下さい。」



この前みたいにならないようにと、今にも掴みかからんとする賭狗膳を、早乙女は必死に抑える。



「………。賭狗膳ちょっと来い。課長、賭狗膳借りますよ。」


「え?おいっ、棟郷!」



呆れたような羨ましいような感じでそう言うと、誰の返事も聞かず棟郷はさっさと行ってしまう。



「…え?私も?」



棟郷管理官に失礼のないように賭狗膳を見張れと、早乙女は課長に命じられてしまった。
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