振り返って、キス





Γはっはっ…はぁっ」





何だか、訳がわからず校門まで走ってきた





Γあれ…何で…」






何で、走ったんだろ。





校門で立ち尽くしてしまっている。





このドキドキは、きっと走ったせいか。





いや、ほんとはそれだけではないはず




でも、走ったせいだと言い聞かせている自分がいる。





Γ待ってよ」





後ろから聞こえてきた声に、胸がドキリと高鳴ったのは





気づかないフリをした。






Γ星野…?」





火照る顔を少し落ち着かせ、笑顔をつくって振り向く





Γなに…?」





Γや、物凄い勢いで走ってったからさ…」





少し焦ったような表情を浮かべ、私の近くまで歩いてくる





Γ一緒帰らない?」





Γえっ」





急にかけられた言葉になんて返したらいいのか分からない





けど、断る理由もない…よね?





Γいや、俺も一人だし。駅も一緒っぽいし」





ね?と笑顔を浮かべる一条くんに、うん、と頷いてしまった。





Γ帰ろっか」





彼がスタスタと歩き出して、慌ててその後ろを追いかけた









< 30 / 67 >

この作品をシェア

pagetop