振り返って、キス






ピーッ





高い笛の音が響いたと思えば、ボールがこちらへ転がってきていた





コロコロと土の上を転がるボールを追いかけてくる人と目が合った






その瞬間、心臓があり得ないぐらい高鳴る





Γおはよ!星野」





それが、一条くんだったからだ。





Γお、おはよ」





Γどうした?…見てたの?俺のこと」





サッカーボールを持ち上げると、目を細めて笑う一条くんの笑顔に、ついドキッとしたり。






Γち…サッカーみてた」






Γあ、なるほどね」





うんうん、と頷きながら一条くんは戻っていった





その時に見えた背番号"10"の文字。





Γベタ惚れ」






そんな姿をぼうっと見ていることに気づいたのか、





隣で紗稀ちゃんがニヤニヤしながら呟いたのがわかった






それを無視して





Γ風谷?だっけ?ほら、ボール蹴ってるよ」







からかいのつもりでいうけど






紗稀ちゃんは口角が上がっていて、嬉しそうだった
















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