漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】


「だって……さっきまで、離れなきゃいけないと思ってたから……。何か、変な感じで……。」


信じられない気分というか、恭の言うように不安が拭いきれないというか。


正直まだ、混乱している。


「俺も、さっきのさっきまで茉弘と離れるつもりだった。本当についさっきまで。」


「……知ってる。」


さっきの恭が本気だった事くらい分かってる。


だから、あたしも本気で離れなくてはと思ったんだ。


初めて知った、恭の心の暗い部分。


あたしが側にいる事で、恭に辛い思い出が過るのなら……あんな顔をさせてしまうくらいなら、離れるのが最良だと思った。


今もそう思ってる。


でも……。


「まさか、笑うなんて思わなかったんだ。」


「え?」


「あんな風に、笑うなんて思わなかった。

泣いてしまうんじゃないかとか、怒らせてしまうんじゃないかとかは、思った。だから、多少心の準備は出来ていた。

でも、笑うなんて……予想外だった。」
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