漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】
恭は、困ったと言うように眉を八の字にして微笑む。
そして、今度は私の額にキスをする。
「茉弘は、強がるのが癖なのかな。」
「え?」
「不良グループに捕まった時もそうだけど、この間聖也に色々キツい事言われた時も、茉弘は文句一つ言わずに聖也の心配なんかしてた。」
あぁ。
だから、恭はあの時少し驚いた顔をしたのか……。
「それは……」
あたしが言い訳しようとすると、あたしの唇に人差し指を当てて、恭がそれを制止する。
「分かってる。茉弘は自覚がないんだよね。
自分の事よりも人の事を思いやる。茉弘の凄く良い所だ。
だけど、時々凄く心配になる。
もっとワガママ言ったり、頼ったりしてくれてもいいのにって。」
恭は、そう言ってあたしを引き寄せる。
「さっきもそうだ。俺の為に笑ったんだろ?」
うぅ……。
あんなに必死で隠していたのに、全て見透かされてる……。
恭には敵わないなぁ。