カタブツ上司に迫られまして。
それはまぁ、昨日の今日だし、休みをくれるって言うなら嬉しい。

大屋さんに連絡もしなくちゃいけないし。

スーツ以外の着るものと言ったら、寝間着代わりのキャミソールにハーフパンツ。

ずっとスーツ姿は嫌だし、さすがにキャミソール姿でうろつくワケにもいかないよね。

「……ありがたく休ませていただきます」

「ん……」

それきり黙りこんだ課長を眺めていてもしょうがないから、お母さんの手伝いに戻ったら、

「ああ。もう終わったから、鳴海さんもこれ持っていったら、食べていて」

炊きたてご飯と、それからお味噌汁のお椀を二つづつ、お盆に乗せて渡してくれた。

「和食の朝ごはんなんて久しぶりです」

「あら。そうなの?」

「一人で暮らしていると、どうしてもパン食に片寄りがちで……」

思わず苦笑すると、お母さんも自分の分のご飯茶碗とお椀を持って、小さく笑っている。

「祐もそんな感じだったのかしらね。まぁ、そこそこ作るみたいだけれど」

「課長が?」

課長が料理をする姿は……何だか想像つかないかな。

「一応、大学生時代から独り暮らしだったから、自炊もしていたみたいよ。うちのが亡くなって、一昨年帰ってきたの」

へぇ……。
やっぱり独り暮らししていたんだ。

でも、お母さんが一人になって、戻って来たって事?

……なんだ。案外優しいんだな。

「冷めちゃうから、食べましょう?」

お母さんに言われるまま席について、課長の分のご飯とお味噌汁のお椀を置くと、とても困った顔をされた。

「どうかしましたか?」

「いや。なんか慣れねぇ」

当たり前でしょ! 私だって慣れないわよ!
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