カタブツ上司に迫られまして。
考え事がまた増えた。

降ってわいたような話に、どうついていけばいいのか解らない。

だって、そんな風に課長の事を見たことないもの。

今までだって、冷たくて怖いな……としか思ってなくって、どちらかと言うと半径一メートルにも入って来てほしくないかも……なんて、考えていて。

あんな口調で、ころころと表情が変わって、Tシャツにジーパンに下駄なんて姿は想像もつかなくて、しかも、いきなり部長を“おっさん”と呼ぶなんて想定外すぎて。

だけれど、あんなに暖かいとは思ってもみなくって。

……どうしよう。

どうしようかって考えてみた所で、仕方がないんだと思うけれど。

つまり、課長は私の事を好きなのかな? だから口説くつもりでいるの?

課長から口説かれるなんて、まったく何も考えたことも、想像したこともなかったよ。

でも、今の出来事は夢じゃない。

夢じゃないなら、どうしてくれようこの状況。

課長が私を好きだって言うなら、答えも何もない今の気分のまま、課長のご実家に寝泊まりしていていいわけないし、お母さんに気に入られている場合でもない。

……だと思う。

いっそのこと、成り行きに任せてしまうのも手段だけれど、それは何かが違うと思うし。

絶対に違うと思うし。

どうしよう? どうすればいい?

全然解らない。











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