優しい彼が残したもの
「ごめんなさい、おばさん…
私、まだ気持ちの整理ができてなくて…」
「私こそごめんなさいね…
綾音ちゃんを責めているわけじゃないの。
いつでも来ていいのよ。
きっと康喜も喜んでるから。」
「ありがとうございます…」
康喜…喜んでなんかないよね。
私のことなんて、もう見たくもないよね。
康喜…ねえ、康喜……
私はずるいんだ。
おばさんに挨拶をして、帰った。
帰り道はいつも思い出さずにはいられないんだ。