ラブエンゲージと甘い嘘
「お前に出来ること提案をしたつもりだが? 何が不満なんだ?」

何がっていうか、何もかもがだけど……。そんな提案「はいわかりました」って受けられるわけないじゃない。

「この俺の申し出を断るつもりか?」

上から見下すように、私を睨みつける。でもここは私だって引けない。

「結婚って、そんな無茶なこと言われても困ります」

きゅっと唇を結んで相手の目をまっすぐに見つめた。そんな無茶な提案受け入れられない。

「……わかった」

彼の短い返事を聞いて私は、胸をなでおろす。

よかった私の意見を聞いてくれて。

「では、弁護士を通じて慰謝料の請求をさせてもらう。これがうちの弁護士の名刺……」

「ちょ、ちょっと待ってください!い、慰謝料って私が払うんですか?」

「俺が払ってどうするんだよ? 後日連絡が行くと思うから……」

そ、そんな。弁護士立てて慰謝料ってことは……少額ではないはずだ。今の私に払う余裕なんてない。

「慰謝料なんて、私そんな余裕は……」

「だったら、結婚すればいい。俺と」

そう言って、にっこりと胡散臭い笑顔を浮かべて私に手を差し出す。
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