深愛なる君へ、この愛を捧げます。




パンパンッ!




ネガティブな自分の考えを消すように、自分の頬を叩いた。




嫌な考えはやめろ。
決めたじゃない、理人が目を覚ますまで信じて待つって。




理人に幸せにしてもらうって。




私は邪心を吸い取るように、掃除機のスイッチを入れて床の埃を綺麗にする。




「…っ!いった…」




邪心を打ち消そうと集中して掃除していたせいで、前に大きなタンスがあることに気付かず思いっきり頭をぶつけた。




「~~っ…!」




あまりの痛さに両手で頭を抱え、その場にしゃがんだ。




お義母さんや理人に言われたことがあった。
『何かに集中すると、周りの状況が見えなくなることがある』って。




パサッ…




痛みが和らぐまでとしゃがみ込んでいたら、四つ折りになった小さな紙が落ちてくるのが視界に入った。




落ちてきたところを辿って上を見上げれば、目線は私が思いっきり頭からぶつかったタンスの上へと辿り着いた。




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