あのね、先生。-番外編-
「俺は中村先生じゃないから分かんないけどね。自分でも分かんないから今日誘ったんじゃない?」
「時間の問題っていうのは?」
荷物を詰め終わった蓮くんが立ち上がって、また荷物を持ってくれる。
きっと軽いからいいよって言っても持ってくれるんだろうから、いつも素直に任せて、その代わりに空いてる蓮くんの手をギュッと握る。
それが当たり前になった。
「合わないわけじゃないと思うんだよね、あの2人。今日みたいな時間が増えればそれも気付きそうだけど」
2人の事よく見てるな、って思ったけどきっと蓮くんは上手くいってほしいんだろうな。
「そっか、上手くいくといいね」
今日がそのキッカケになればいい。
「なかなかないからね、こうやって一緒に遠出する機会」
「教師だと余計そうだよね」
中村さんと吉野先生が2人でいるところを生徒に見られでもしたら、多分中村さんは面倒だと思うだろう。
そういう人だもんね。
だから出来ることなら、2人の関係が落ち着くまでは誰にも邪魔してほしくない。