あのね、先生。-番外編-

「あ?」

「吉野先生とどうなの?」

ニヤニヤしながら聞くあたしに、中村さんはため息をついてそっぽを向く。

大方シロにも聞かれたんだろう。

「お前らほんと俺の恋愛話好きだよな」

「そりゃあねぇ、だって中村さんの話だよ。滅多にないもん」

嬉しいんだよ。

中村さんはこういうの面倒だって思うところがあるし、自分のこととなると少し鈍感だから。


「…どう思う、お前」

「え?」

中村さんはボーッと海を眺めながらポツリとそう溢した。

「…どう思うって…、吉野先生のこと?」

吉野先生の方を見れば、蓮くんと何か話してて。もしかして蓮くんも恋愛相談乗ってるのかな、なんて思った。

そしたら加地くんまで吉野先生と話し始めて、たまに笑う。

「吉野先生っつーか、俺のこれから?」

そんな中村さんの言葉に、思わず吹き出してしまった。そんなあたしを中村さんは怪訝な顔で見る。
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