あのね、先生。-番外編-
「んふふ、中村さんのおかげで上手くいったところもあるし、今度はあたしが中村さんを応援しなきゃね」
「前から思ってたんだけどさ」
「ん?」
どうやら蓮くんと吉野先生の姿が見えたらしい。中村さんは立ち上がって言った。
「咲良、いつのまにか篠原先生と同じような笑い方するようになったよな」
「え?」
「こっちが力抜けるような感じ?ずっと一緒にいたら似てくるって言うじゃん」
あたし前はどんな風に笑ってたんだっけ。
そんなことを思ったけど、思い出す暇もなくそれは遮られた。
「茉央ちゃん、海の近く行こ」
「あ、うん」
座ってたあたしに蓮くんは手を差し出して、足元を見て思い出したようにあたしの前にしゃがんだ。
「蓮くん?」
「おいで」
きっと海の近くに行こうと言ったのは、中村さんと吉野先生を2人きりにするためだよね。
だけどあたしが歩けないから、蓮くんは背負ってくれようとしてる。