俺様紳士の恋愛レッスン
「だってあんなイケメン滅多にお目にかかれないじゃん! 今日を逃したらもう二度と会えないかもって思ったら……」

「エン、私の話聞いてた? 『新しい担当の人』って言ったでしょ」

「あぁ! そっか、そうだよね……何してんだろ私」

「バッカだねー、エンは」



萌はさも楽しそうに笑いながら、オフィスチェアの背もたれをギシギシと揺らす。

前後する萌の姿を見下ろしながら、私はもう一度大きくため息をついた。



「ま、でも。イケメンだからってどうこうなりたいワケじゃないんだけどさ」



これは、ごく自然と出てきた言葉。

つまり、本音の本音。


いくらイケメンだったからといって、その先の何かを期待しているわけではない。


今回は、私の本能が暴走してしまっただけ。

大好きなアイドルと街でばったり出くわしてしまった時の行動、例えるならばそんな感じ。

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