俺様紳士の恋愛レッスン
「ねぇ、エン」



1トーン落ちた声色にドキリとして、反射的に肩が強張る。



「前々から言ってるけど、私はエンにちゃんと『恋愛』をして欲しいと思ってる」

「あー、うん」

「ドンピシャなんでしょ? なら今回こそいけるはずだよ」

「いや、冷静に考えたらただのミーハーだったのかも……」

「エン、これはいいチャンスだと思いなよ」

「……でも」

「こらっ! 篠宮!」



萌との会話に、突如ドスの利いた横槍が入れられた。



「わっ、山内室長! おかえりなさい!」

「おかえりなさい、じゃないだろ。資料はどうした?」

「すみません、今持って行きます!」



慌てて束ね直した紙束を抱えた、その時。



「エン」



袖を掴まれ、引き止められる。

驚いて振り返った先には、睨みつけるように私を見上げる、萌の険しい表情。



「ちゃんと自分の幸せ、考えなよ」



そう一言呟いて、萌は私を解放した。

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