俺様紳士の恋愛レッスン
「今の有効!?」

「1本で決めたら、って指定し忘れてたからな。しょーがねーから聞いてやるよ」



なんて意地悪に笑うから、これが十夜の『飴』だということに、嫌でも気付いてしまう。

胸が締め付けられる感覚に、十夜の腕を握る手に力がこもる。



「……じゃあ」



私の言うことは絶対で、十夜に拒否権はない。

だったら、これしかない。



「優愛さんのこと諦めて!」

「却下」

「なんでやねん!」



余りの即答に思わずツッコミ。



「……はっ」「ふっ」



そして同時に、吹き出した。



「あーいや、それだけは無理だ」

「なんで? 私の言うことは絶対でしょ?」



互いに笑いを引きずったまま、コートの隅へと向かい、腰を下ろした。

さわりと抜ける夕暮れの風が、高揚を落ち着かせる。



「次元が違うんだよ」



そう言った十夜の横顔は、どこか遠くを見据えていた。

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