俺様紳士の恋愛レッスン
なに、バカなこと言ってんの。

そう、すぐに返せればよかった。

躊躇ってしまったこの間(ま)で、ショックを受けたことが、きっと伝わってしまった。


どうして彼は、いつも先手必勝なのか。

私の心を読んでは、すかさず根回しをする。


本当に、優秀すぎて嫌になる。



「なるわけないじゃん、バカ」

「ならいい」

「自惚れないでよ、バカ」

「わりーわりー」

「イケメンだからって調子に」

「そろそろ時間だ」



十夜は俯く私の頭をくしゃりと乱暴に撫で、立ち上がった。

乱れた髪の隙間から、睨みつけるように彼を見つめる。



「帰るぞ」



西日を背に受けて、翳る笑顔がホンモノなのか、ニセモノなのか。

涙で歪んだ視界では、分からなかった。

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