俺様紳士の恋愛レッスン
最寄り駅に着いたのは21時過ぎ。タカちゃんはもう帰ってきているだろう。

さすがに既読無視をしたまま顔を合わせるのは気まずいので、意を決し、数時間前のメッセージを開く。



「……え」



一瞬のうちに血の気が引いた。

ポップアップには表示されなかった続きの一言を、見開いた目で何度も読み返す。


なぜ数時間前の私は『大……』に続く文章を想像しなかったのか。

タカちゃんがよく使う『大丈夫?』も『大変だね』も、脈略で考えれば明らかに不自然だと、なぜ気が付かなかったのか。



『大事な話があるんだ』



複雑に痛む胸。踏み出すごとに大きくなる鼓動。

「行きたくない」「行かなきゃ」

対極の意識と闘いながら、怯む足を前に出す。


十夜と遊んでいたことがバレたのか。

それとも、まさか……。



辿り着いた玄関の前。

呼吸を整え、震える手でドアノブを握り、ゆっくりと回した。

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