俺様紳士の恋愛レッスン
ドキリとする暇もなく、十夜の背中越しに「ちょっと!」投げられた声。



「何してるんですか! 離して下さい!」

「離しません」



凛とした声が耳に響いたかと思うと、十夜は再び身を翻し、タカちゃんの正面に向き直る。

見上げた顔には、完璧に仕立てられた真摯の表情が作られていた。



「篠宮さんに彼氏がいることは知ってます。けれど」



私の肩を引き寄せて、今度は見せつけるかのように抱き締める。



「俺は本気です。だから離しません」



十夜の迷いのない言葉に、タカちゃんの声にならない音が聞こえた気がした。

けれど拘束された私は、振り向くことが出来ない。


華奢だと思っていた十夜の胸元は、見た目よりも広くて男らしく、清涼な香りはより濃く香る。

お陰でこんな状況だというのに、私の心臓はバクバクと狂い打つ。

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