俺様紳士の恋愛レッスン
「どうしよう、間に合わない!」

「ダメ元でも走れッ! 行かなかったら一生後悔するよ!」



温和な萌が声を張り上げて、私に荷物をぐいと押し付けた。



「……萌ッ、ありがとう! 室長も茅野さんも、本当にありがとうございました!」



深々とお辞儀をした私に対して、状況を理解していない二人は「あ、あぁ」と微妙な顔をしていたけれど、今は説明している時間もない。



オフィスを飛び出し、通路の先に見えたエレベーターの表示が1であることを確認して、私は迷わず階段を選ぶ。


このまま駅まで走ったとしても、着く頃には丁度閉館時間を迎えている。

どうしたらいい、どうすれば間に合う。

こんがらがった頭の中で最善策を探すけれど、足りない私の頭では抜け道など見つからない。


半べそになりながら、握り締めたスマホを呼び起こす。

『助けて』と心の中で叫びながら、その番号をタップした。

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