俺様紳士の恋愛レッスン
動揺する私に気を使って、一緒に来てくれるのだろうか。

だとしても、間に合わないという事実は変わらない。

こうしている間にも刻一刻と時間は過ぎていって、やはりすぐにでも電車に乗るべきではないだろうかと、居た堪れなさから汗が落ちた。



――不意にトコトコ、と心地良いエンジン音が耳を掠める。

聞き覚えのあるそれに顔を上げると、広がる光景に確かなデジャヴを見た。



「まさか」



近付いてくるエンジン音に、共鳴して早まる鼓動。

遂にバイクは私の目の前までやってくると、カチャリと音を立てて停車した。



「こンのバカ! 早く乗れ!」



ワイシャツ姿に不釣合いのバイクで現れたのは、口の悪いヒーローだった。



「なんッ……」

「後でゆっくり説明してやる」



十夜は無理やり私にヘルメットを被せ、手早くバックルを締めると、再びバイクに跨り私にも乗るよう視線で促す。

慌ててシートを跨ぐと、傾いた車体がゆっくりと起こされた。

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