俺様紳士の恋愛レッスン
「優しく運転してやれねーからな。ぜってー離すなよ」



そう言って、行き場に困っていた私の両手を掴むと、自分の腰に強く巻きつけた。

引き寄せられた勢いで、十夜の背中にべったりと貼り付いた私の身体。



「行くぞ」



カチャリと音を立てて、バイクは走りだした。


思ったよりも大きく揺れて、跳ねる車体。

怖さと緊張と、言い知れない高揚感が全身を包んで、細い体温に縋るように身体を寄せた。


どうしてこんなに早く来れたの、とか。

『女は乗せない主義だ』って言ってたのに、とか。

頭の中を巡る沢山の疑問符を、十夜にしがみつく腕の力に代えて伝えると、十夜の手のひらが私の手の甲にそっと触れた。

驚いて一瞬ピクリと跳ねてしまうけれど、十夜の手はすぐに離されて、再びハンドルを握る。


私が震えていないか、確かめてくれたのだろうか。

一瞬触れた十夜の優しさのせいで、私の身体は一気に熱を帯び、キツく触れ合う背中と胸元にはしっとりと汗が湿る。

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