俺様紳士の恋愛レッスン
「だーもー泣くな」

「だ、だって……」

「ったく、怒ったと思えば急にしおらしくなって。お前といると本当に調子が狂う」



十夜こそ、ついさっきまで怒っていたくせに、今は私を小馬鹿にするように笑って、また涙を拭ってくれる。

その力は強引なのに、触れた温もりは痛いほどに優しい。



「……私、本当に何考えてるんだろうね。自分で自分のしたいことが分かんない」



顔を上げて、密接距離にある瞳を見つめた。

頬に添えられた手にそっと自分の手を重ねてみると、心臓はドクンと跳ねる。



「だけど、本当は誰が好きなのかってことだけは、ちゃんと分かってる」



私の身体は私以上に正直だ。

全身の血流が、こんなにも彼を欲している。



「私が本当に好きなのは、口が悪くて意地悪で、時々バカみたいに優しい、優秀なコンサルタントなの」



彼を引き止めたい、その一心で、私は想いを伝えていた。

< 275 / 467 >

この作品をシェア

pagetop