俺様紳士の恋愛レッスン
「今は無理でも、時間をかけていけばきっと……」

「あまーい! エン、率直に彼氏のことどう思ってる?」

「えっと……優しくて穏やかで、こんな私のことを大切にしてくれて、すごくいい人」

「本当にそう思う?」



細められた萌の視線は、私の心の奥を覗こうとしている。

逃れるように顔を逸らすのは、最早クセだ。



「分かった。じゃあ代弁してあげる」



萌はふぅ、と小さく息をつき、再び私を見つめた。



「もっと男らしければいいのに。もっとお金があればいいのに。もっと頼れればいいのに。……片柳さんみたいに」



抑揚のない言葉に、スッと体温が下がっていくのを感じた。



「さっき見せてもらった片柳さんの言葉の中にあった『いい人を演じることを放棄しろ』ってやつ、本当にそうだなって思った。
エンが片柳さんに惹かれたのはどうして? こうであったらいいのにっていう本音の部分が、片柳さんにはあったからでしょ」

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