俺様紳士の恋愛レッスン
締め付けられる胸に、きゅっと細くなる喉。

どうしてこんな時でさえ、気の利いた言葉が出てこないのだろう。



「泣かないで、エンちゃん」

「ッ……ごめ、タカちゃ……」

「謝るのはもうやめて。どっちが悪いとか、本当にそんなんじゃないんだから」



そんな風に言われても、頭の中では分かっていても、流れる涙はコントロール出来ない。


タカちゃんは私と同じ気持ちだったということ。

本当は十夜に対抗心を抱いていたこと。

穏やかな笑顔の裏で葛藤があったこと。

理由はなんであれ、私の為に絵を頑張ってくれたこと。


私ばかりが悩んでいると思っていた。

タカちゃんはいつでも、私の前では笑顔でいてくれたから。



「今までありがとう、エンちゃん」

「ッ……私、こそ……ッ」



言葉にならない声を吐き出すと、タカちゃんは私の背中を優しくさすってくれた。

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