俺様紳士の恋愛レッスン
梅雨明けを間近に控えた重たい風が、火照った頬をしっとりと濡らす。



「前もここで話してたら、十夜が割って入ってきたんだよな」

「そうでしたね」



遠山さんに促されてやって来たベランダには、あの日と同じ漆黒の空が広がっている。

わざわざ二人きりになったということは、優愛さんに聞かれたらまずい内容でもあるのだろうか。



「篠宮さんの目には、十夜はどんな人間に映ってる?」

「えっと……ビジネスの十夜は、スマートで優しくて、完璧なデキる男って感じで。でもプライベートの十夜は、口が悪くて意地悪で」

「うんうん」

「強引で俺様で、挙句、散々私を弄んで……!」

「うん、そうだね。十夜は本当に酷い男だ」

「あっ、でも優しい一面もあるんです! 私なんかのことを何度も助けて……くれたり……」



いつの間にか十夜を擁護している自分に気が付いて、ばつが悪くなり目下のネオンに視線を逃した。

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