俺様紳士の恋愛レッスン
終わりのない曇天の夜空を見上げる遠山さん。

その横顔が、“宝箱”の話をしてくれた時の十夜と重なる。



『もう一生拝むことは出来なくても、手放したくなかった。価値があるのは宝箱じゃなくて、その中身だってことは分かっていても』

十夜は自分の中にホンモノの愛情はないと分かっていながらも、捨てることが出来なかった。


『けどすぐに気付いた。こいつも俺と同じ、宝箱を捨てらんねー奴なんだなって』

本当に、私と同じだ。

私もタカちゃんにホンモノの愛情がないと分かっていながらも、捨てることが出来なかった。



そして十夜は、最後に言った。

『もう宝箱はいらねーな』と。



「十夜の恋はとっくのとうに終わっていたんだ。そしてそれを受け入れるきっかけを与えてくれたのは、篠宮さんなんだよ」

「私……?」



穏やかに微笑む遠山さん。

揺れる黒髪から覗くのは、弟を想う兄の顔だ。

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