俺様紳士の恋愛レッスン
衝撃の余り、言葉は何も出なかった。

グルグル回る感情と思考に、目眩を起こしそうになる。



「それからもう1つ。この前十夜に邪魔をされて言えなかった言葉の続きなんだけど」



遠山さんは呆然と立ち尽くす私の前に立ち、ほんの少し身を屈(かが)め、私の顔を覗き込む。



「十夜はね、恥ずかしくて好きな子の名前を呼ぶことができないんだよ。だからずっと、優愛のことも『お前』って呼んでいたんだ」



湿った風が攫(さら)う黒髪の隙間に、意地の悪い笑みが浮かび上がる。



「篠宮さん。君はいつから名前で呼ばれなくなった?」

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