俺様紳士の恋愛レッスン
「私、十夜のところに行きます」



決意を持って涙を拭い、顔を上げる。

すると遠山さんは一瞬目を見開き、やがて優しく微笑んだ。



「ありがとう、篠宮さん」



遠山さんは再び兄の顔を見せると、ガラス戸に手を掛ける。



「十夜の家の場所は知ってる?」

「あっ、知らないです……」

「なら送っていくよ」

「本当ですか!? ありがとうございます!」

「お安い御用だよ。十夜に会ったらぶん殴ってやって」

「あはは。全力で腹パンしますね!」



遠山さんの気遣いのお陰で、荒ぶった気持ちも薄れていく。

十夜よりも少し広いその背中に続いて部屋の中へと戻ると、夕食の片付けをしていたらしい優愛さんが駆け寄ってきた。

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