俺様紳士の恋愛レッスン
「つーか近所迷惑なんだよ!」



音を立て、勢い良く開かれたドア。

そこから伸びてきた腕に拘束されて、部屋の中へ雪崩(なだ)れると。



「ったく、好き勝手言いやがって」



背後のドアが閉まると同時に、十夜の腕の中に吸い込まれた。

薄暗い玄関に、清涼な香りがふわりと舞う。



「だって、十夜が無視するから!」

「いきなり押し掛けてきて、バカじゃねーの」



十夜は私の後頭部を強く引き寄せて、私は十夜の背中をぎゅっと手繰り寄せる。

こんなにも熱い抱擁を交わしているのに、どうして私たちはまた、言い争いをしているのだろう。



「だって連絡したら絶対拒否るじゃん!」

「だってだってうるせーなお前は」

「お前じゃないもん!」



私の言葉に、十夜の肩がピクリと震えた。

沈黙が流れ、心臓の音だけが耳に痛く響く。



「……エン」

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