俺様紳士の恋愛レッスン
12月も半ばに入り、深々と冷える空気に心地良さを感じながら、コンクリートの階段を上っていく。

調子に乗って飲み過ぎたせいか、頭が少しぼーっとする。



「ただいまぁー」



玄関を開けてみれば、綺麗に揃えられた黒の革靴が私を出迎えてくれた。



「十夜ー! たっだいまぁ!」

「エン、遅かったな」



洗面所から現れたのは、まだ帰宅して間もないであろう、ネクタイを結んだままの十夜。

私はポイポイ、とパンプスを脱ぎ捨てて、十夜の胸の中に飛び込むと、ふわっと清涼な香りに包まれる。



「んーっ! 十夜の香りだー」

「お前、飲み過ぎ」

「んふふ。萌と久々に話せて楽しかったぁ」

「よかったナ」



少し呆れた声色を含ませて、私の頭を撫でてくれる十夜。

この不器用な優しさが堪らなく好きだ、と再確認すると同時に、ふと先程の不安が頭をよぎる。

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