俺様紳士の恋愛レッスン
「っとにお前は……」



ため息混じりに落とされた声には、明らかな不機嫌の色が滲んでいた。

怒らせたかも、と慌てて顔を上げると、十夜は眉間にしわを寄せて私を見下ろす。



「俺がそういうの苦手だって分かってんだろ」

「で、でもっ」

「大体、何が経験豊富だよ。お前のほうが俺よりずっと恋愛してきてんだろーが」



ばつが悪そうにガシガシと髪を掻いた十夜は、再び小さくため息をつくと、睨みつけるような視線を向ける。



「分かってんだよ、お前がどんな言葉を欲しがってるかってことくらい。でもなぁ、こっ恥ずかしくて言えねーんだよ。
つーか仕方ねーだろ。初めてなんだよ、彼女っつー存在ができたのは」



俺様な口調とは不釣り合いに、十夜は頬を赤く染めて言う。

その姿に、不安も心配も一瞬でどこかへと吹き飛んで、代わりに狂おしいほどの愛おしさに苛まれる。

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