俺様紳士の恋愛レッスン
“人として大切なモノ”とは、つまり感情。

十夜は殺すことしか出来なくなってしまったホンモノの自分を、誰かに救って欲しかったのだ。



「――十夜ぁー!」



その名を呼んで、背中を手繰り寄せて、溢れる涙を押し付ける。



「泣きすぎ」

「だって、だってぇッ……」



全身が震えるのは、嬉しさの余り。


私は彼に救われてばかりだと思っていた。

私も彼を救いたいと願ったけれど、優秀な彼は自ら想いに決着をつけたから、結局私は何も出来ていないと思っていた。



「十夜ぁ、ありがとうッ」

「……そっくりそのまま返す」



けれど私の唯一の取り柄である素直さは、彼の足りない部分を補うことが出来るという。

側にいることが、結果的に彼を救うことになるのならば、これ以上幸せなことはない。

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